安定した境界で安心な暮らしを

DSCF0006-2.jpg 境界トラブルを抱えた人からお話を伺うと、境界問題もさることながら、「朝会ってもあいさつをしない」、「隣の枯葉がこちらに飛んでくる」、「生垣の枝を勝手に切られた」、「台風で物が飛んできた」「ペットに迷惑している」などなど、いろいろと隣家に対する苦情が出てきます。これらの苦情は、いわば境界問題という根や幹から発生した枝葉が、木全体を覆ってしまった結果と言えるでしょう。一つ一つは、普通の隣人関係が維持されていれば、日常のコミュニケーションで十分消化してゆくことが可能なものですが、境界問題が根本にあると、日常のコミュニケーションどころか疑心暗鬼となり、苦情の拡大再生産が行われて最悪な関係へと進んでゆきます。

 一般的なトラブルであれば、当事者間で適当な距離を保つことによって、これ以上のトラブルに発展することを回避できますが、日常生活の中で、全く隣家と関係を持たないわけにも行かず、トラブルがトラブルを呼び、深刻化、長期化する傾向にあります。良好な(普通の)隣人関係を構築してゆくためには、隣家との間に安定した境界が欠かせないと言えます。
 では、安定した境界とは、どのようなものでしょうか。それは、現地、図面、登記、そして当事者双方の認識、この4つが合致している境界です。すなわち、現地では境界標などにより境界が明確であり、次にその現地の境界が図面(登記所備え付けの地図や地積測量図)と一致し、かつその境界を測量して求めた土地の面積が登記簿に記載されている地積と相違がなく、さらに関係する当事者双方ともそれが互いの境界だと認識している状態です。

 現地、図面、登記の3つについては、一度一致させておけば人為的工事や大地震などがない限り、変わるものではないですから、一度しっかりと一致させておくことが大切です。また当事者については、売買や相続などによって一定の期間で移り変わって行きますが、その際にお互いの認識を同じものにしておく必要があります。通常、新当事者(予定者)は、どこが境界かを最初からは認識していないでしょうから、新当事者に既に現地、図面、登記において一致している境界を説明し、認識してもらうことで、引き続き安定した境界になります。

 安定した境界は、良好な(普通の)隣人関係を育み、安心な暮らしと心の安定をもたらします。これは、境界を17年間見つめてきた実感です。

住宅新築時の注意点

build40.png 住宅を新築したら、建物新築登記必要です。建物は土地とは別個の不動産として、所有権や抵当権などの権利の対象となりますが、建物が何番の土地に、どんな構造をしてどのくらいの大きさで建っているか調査・測量して登記することによって、はじめてその建物に関する所有権や抵当権などの権利の登記が可能になるからです。したがって、土地家屋調査士は、建物新築登記を司法書士の所有権や抵当権などの権利の登記に先立って法務局に申請することになります。

 建物新築登記を申請するにあたって、我々土地家屋調査士がもっとも注意していることは、建物が何番の土地にどのような格好で建っているかということです。いわゆる建物の所在のことですが、ある人が建てた住宅が1番の土地に建っているのか、1番と2番の土地にまたがって建っているのか、それとも2番の土地に建っているのか、これによって建物を取り巻く法律関係が変わってくるからです。1番の土地の所有者と2番の土地の所有者が違う場合はもちろんのことですが、どちらも同じ所有者であっても、銀行からの借入れに関する抵当権の設定範囲や農地法の許可範囲の問題、将来住宅がその敷地とともに取引されることなどが想定されますので、慎重な調査が必要になります。
 分譲地をずっと以前に購入していた人が、いざ住宅の新築となったら、ご自分の土地を取り違えて、他人様の土地に住宅を建ててしまったという、笑えない冗談のような話がありますが、そこまで極端でなくても、新築建物が隣地や前面道路にはみ出てしまったとか、現状ではつぶれている道路敷きや水路敷きにまたがっているなどは、たまに遭遇するケースです。このために、銀行の融資がスムーズに行かなかったり、隣地とトラブルになったりすれば、住宅の新築という一生に1度か2度の大事な節目に、どたばたスタートになってしまいかねません。

 住宅を建築する時に土地の境界に関して、多少なりとも疑問がある場合は、予め土地家屋調査士に相談しながら建築計画を進めることで、こんなトラブルを回避することができます。

晴耕雨読な生活が身近に

farm31.jpg 改正農地法が平成21年12月15日から施行されました。今回の改正では、新規就農にあたっての下限面積の取り扱いが各市町村農業委員会に委ねられたことが注目されます。これを受けて男鹿市農業委員会では、地域の実情を考慮して下限面積を改正前の5,000uから1,000uに引き下げました具体的には、改正前は新規に農地を取得して農業を営むには、取得分を合わせて5,000u以上の耕作面積を必要としていましたが、改正後は取得分と合わせて1,000u以上の耕作面積でよくなりました。もちろんその他にも条件はありますが、新規就農にあたって、最も障害になっていたのはこの下限面積だったと思います。当初から5,000u以上の農地を耕作して行くことは、機械、労力、技術などの問題から、農業に興味を持っている多くの人を躊躇させていたでしょう。これが1,000u(およそ100坪の宅地3枚分)に引き下げられたことで、大きな機械や他人の労力に頼らず、自分の体力と技術をもって、マイペースな就農を可能にしました。土日や休日を利用した農業、趣味を発展させた農業、副業としての農業、定年退職後の晴耕雨読な農業など、多彩な農業形態の出現が男鹿市の農業に元気を与え、増え続ける耕作放棄地が少しでも減少することを期待しています。男鹿で晴耕雨読な生活、あなたも始めてみませんか。